【HORIGUCHI × COEDO COLLABORATION 2021】#1

毎年恒例となった、堀口珈琲さんとのコラボレーション。

ブルワーとロースター両者の知見を掛け合わせることで、従来にはないコーヒービールを目指し、新しい体験を皆さんにご提供します。
※今回製造工程の関係で、酒税法上「発泡酒」に区分されています。

第4回目となる今回は、よりコンテンツ重視な方向で造っていきました。
昨年まで1種1バッチで展開してきましたが、コーヒー豆とベースビールの合わせ方により異なる個性が生まれることから、今回は香りや色、マウスフィールから余韻まで違いを自由に楽しんでいただけるよう、昨年好評だった『織香-Worka-』のブラッシュアップバージョンと、新作となる『黒艶-Kokuen-』の2種類を醸造しました。

このプロジェクトを担当いただいた堀口珈琲生豆事業部の大瀧雅章さんに、レシピ完成までのアプローチについてお聞きしました。

―こんにちは。堀口珈琲生豆事業部の大瀧と申します。

堀口珈琲×COEDO コラボレーション第4弾『黒艶-Kokuen-』『織香-Worka-』に投入するコーヒーの選定を担当させていただきました。堀口珈琲では、ロースターとして、店頭で販売するコーヒーの焙煎に取り組みながら、素材として使用する「生豆」の品質管理も担当しています。

堀口珈琲は、素材の特徴を的確に捉え、焙煎によって適切に個性を取り出し、それらをブレンドすることで香味を創造し「コーヒーで表現できるおいしさ」を追求し続けています。そして、その先の「さらなるおいしさ」のために「より良い素材」を探し求めてゆきます。つまり、「素材」とそれらを駆使した「味作り」の両面からコーヒーのおいしさの表現を究めようとする会社なのです。

そこで、クラフトビールの旗手ともいうべきコエドブルワリーさんと堀口珈琲のコラボレーション商品を作るのにふさわしいコーヒーとはどうあるべきか、「ロースト(焙煎度)」と「素材」の2つの項目の「選択と組み合わせ」という観点から考えることにしました。

▼「ロースト(焙煎度)」の選択


既存のコーヒービールの大半が「焙煎麦芽のロースト香」に「深煎りコーヒーのロースト香」を合わせるスタイルのものでした。そこにはコーヒーの「素材」と「ロースト」の選択の幅は存在せず、ビールの味わいにコーヒーの方が寄せていく形で作られていました。

しかしコーヒーの味わいは実に多様で、例えば同じ素材でも焙煎度によって表れる風味が全く異なります。焙煎度が浅いと、特定のフルーツを思い起こさせるような果実感や、花のような香りが分かりやすく感じられます。

これらの要素に副原料としての役割を見出すことはできないか、むしろ製品の仕上がりに最もよく寄与できるポイントになり得るのではないかと考えました。

▼「素材」の選択

シングルオリジンとブレンド、浅煎りと深煎りを問わず片っ端から試作を行い、ビールとの相性を試していきました。

そこでたどり着いた答えは、コーヒーの持つ「香りと味の果実感」がコラボレーション製品に相乗効果をもたらす最大の要素である、ということ。そして複雑かつ明瞭な「果実感」を備えた、最適な副原料として選択したのがエチオピア「ウォルカ」エリアのコーヒーです。
堀口珈琲が素材を追求した歴史の中で、特にこだわり続けてきた生産国である「エチオピア」で遂に出会った「理想形」ともいうべきコーヒーです。

ブルワーの目黒さんに早速コーヒー豆をお送りしたところ、「ウォルカ」の果実感とビールの相性の良さについて同意いただくことができ、「ウォルカに合わせたベースビール作り」すなわち「コーヒーの個性に合わせたビール作り」という観点からもアプローチしていただけることになりました。

『織香-Worka-』

コーヒーを提供する側として思い描いたのは、グラスに注いだ時の香りから、口に含み、飲み込んだ後の余韻にもコーヒー由来の果実感を楽しむことができるビールです。このための選択がウォルカエリアの「ウレインチニーチャ ウォッシュト」の「シティロースト」でした。

深い焙煎由来のスモーキーな味わいではなく、比較的浅い焙煎の時に表れる「明るく華やかな果実感」を、麦芽由来のコクと甘みやホップの苦味とうまく調和させながらビールの中に溶け込ませたい。そのために、明るくかつ複雑な果実感としっかりとしたボディを持った「ウレインチニーチャ ウォッシュト」を、果実感と甘みそして苦味を調和させた焙煎度である「シティロースト」で仕上げ、それにコクと甘みと華やかさをバランスよく備えた、ドイツの伝統的スタイルのビールである「アルト」を合わせていただくことになりました。

『黒艶-Kokuen-』

「ビールにコーヒーを加えることの最大の利点は、より複雑な果実感をビールに与え、その味わいに奥行きと深みを与えることである」という前提に立ちつつ、「織香」とは明確に異なるタイプの製品を作るにはどのようなコーヒーを使用すべきなのか。今回はまず「素材」の選択に取り掛かることにしました。

コーヒーの味わいに違いをもたらす要素には、「生産地」「焙煎度」などがありますが、特に、コーヒーを飲んだ時に感じる「果実感」に違いをもたらす要素として「精選(※1)」が挙げられます。全く同じ原料を使用しても「ウォシュト(※2)」の方法を採用した場合と「ナチュラル(※3)」とでは、香りと味わいに明確な差が表れます。

「ウォシュト」の場合、柑橘のような果実感のある、明るくすっきりとした味わいのコーヒーに仕上がります。一方「ナチュラル」の場合は、赤ワインを思わせるような複雑な果実感と滑らかな口当たりのあるコーヒーに仕上がる傾向にあります。

「ナチュラル」のコーヒーを使用することについてはブルワーの目黒さんともすぐに意見が一致し、こちらもやはり、より明瞭な「果実感」を備えたエチオピア「ウォルカ」エリアのコーヒーを使用することにし、早速試作に取り掛かりました。

素材の方向性が決まったので、次は「ロースト」を変えて異なるスタイルのビールとの組み合わせを試しました。試作を重ねる中で、深く焙煎されることで初めて表れる「複雑さと妖艶さ」を帯びた「ナチュラル」のコーヒー特有の「果実感」と、COEDOの「漆黒」の持つ、深みがありつつクリーンでマイルド、それでいてほんの少しの余白のある味わいが非常に相性が良いという結論に至りました。

最終的にコーヒーの方は、同じウォルカエリアの中でもベリー系の複雑な「果実感」を持ちつつ、素直な「甘さ」を備えておりビールとの親和性が高いと思われる「アダメ・マゾリョ ナチュラル」を深煎りの「フレンチロースト」で仕上げ、そこに「漆黒」に近いブラックラガーである「シュバルツ」を合わせていただくことになりました。

典型的なコーヒービールを想わせる「黒ビール」スタイルではありますが、明確な「コーヒーの個性」と、それを受け止めるベースビールとの「相乗効果」、より多くのお客様に受け入れていただける「飲みやすさ」が実現された素晴らしいビールに仕上がったと思います。

(※1)精選:コーヒーの実から、最終的に生豆を取り出す行程のこと。

(※2)ウォッシュト:水洗式精製ともいう。コーヒーの実から種子であるコーヒー生豆を取り出す過程(精選)の中の方法の1つ。果肉を除去した後に水洗いをする行程を含むことからこのように呼ばれている。

(※3)ナチュラル:乾式精製ともいう。同じく、コーヒーの実から種子であるコーヒー生豆を取り出す過程(精選)の中の方法の1つ。「ウォシュト」が、果肉を除去し水洗いした後に乾燥させ、種子であるコーヒー生豆を取り出すのに対し、「ナチュラル」は収穫したコーヒーの実を果肉がついたまま乾燥させた後に種子を取り出す。

いかがでしたでしょうか。

コラボレーションを通じて、コーヒー豆の個性たらしめるものについて理解が深まりました。
互いの知見、技術を駆使してセッションし、新たな方向性を見出すプロセスはとても面白いですね。

先日、いよいよ充填直前のタイミングでコーヒー豆をホップガンを使用して漬け込み、サーキュレーション中に繰り返しテイスティングし、アロマ・フレーバーともに最適なタイミングで仕上げました。
その直後に放送したインスタグラムライブの様子がアーカイブでご覧いただけます。

▼堀口珈琲について

「THE NEW COFFEE CLASSIC」をブランドコンセプトに、コーヒーの価値を高め、みなさまの豊かな 暮らしに貢献することを目指しています。コーヒー豆の焙煎(ロースト)と販売を中核業務として、コー ヒー生豆の供給や喫茶店の運営も行なっています。スペシャルティコーヒー専門店として、最高品質(ハイエンド)の生豆だけを使用。長期的な信頼関係を有する生産者からその多くを調達しています。

昨今の 風潮とは一線を画しシングルオリジン (ストレート)や浅煎りに偏重することなく、ブレンドや深煎りも 重視。多彩なシングルオリジンとともに、定番ブレンド9種、期間限定の特別ブレンドをラインナップ しています。サンドイッチやケーキなどのフード類も内製し、コーヒーとフードがさらにおいしくなるペアリングを追求したメニューを提供。コーヒーの多様な楽しみ方を提案しています。

▼堀口珈琲 公式ホームページ
https://www.kohikobo.co.jp/

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