~クラシカルなチョコレートのフレーバーを求めて~

クラフトチョコレート・シーンをリードするダンデライオン・チョコレートとのコラボレーションビールを今季も造りました。2019年に始まり、今回で4回目を数えます。

原点回帰となった昨年、デュンケルスタイルをベースとしたチョコレートビール『チョコレート・デュンケル』のブラッシュアップをリリースし、AIBA 2021(Australian International Beer Award)のFlavoured Specialty Beer “Chocolate”にてゴールドを受賞し、チョコレートビールとしてのクオリティを高く評価していただきました。

昨年より醸造担当となった藤咲氏は、前回の反省点を踏まえ、『誰もがイメージできる「チョコレートらしい」チョコレートビール』を目指し、今回も『チョコレート・デュンケル』を造りました。

クラフトマンシップにゴールはありません。

~チョコレートの多様性について~

ダンデライオン・チョコレートとのコラボレーションにおいては、その背景にあるクラフトチョコレートのムーブメントと、クラフトビールシーンとの共通点について触れておきたいと思います。

私たちの家から近所のスーパーや、通勤途中のコンビニで買った日常的に食べているチョコレートは、カカオ豆を原材料とした食品であることは誰もが知っていることですが、そもそもチョコレートの味わいは何によって決まるのでしょうか。またカカオ豆はどこからくるのかについて普段語られる事はありません。

チョコレートの原材料であるカカオ豆には多くの種類があり、そのフレーバーは産地や季節などによって異なります。しかし、その個性は日常的に食するチョコレートとなって私たちに届くまでに損なわれてしまっているのです。

産業化によりテクノロジーが発達し、モノづくりの世界は大きく変わりました。
「より早く、より遠くに、より合理的に」を目指したモノづくりの実践の裏では、チョコレートの豊かなフレーバーが失われていきました。おかげで私たちは食べたいときに、いつも同じ味わいのチョコレートを手に入れることが出来るようになりました。

クラフトチョコレートのムーブメントは、その失われたチョコレート、カカオ豆のフレーバーや個性を、またカカオ豆自体を誰がどこでどのように生産し、供給されているのかというストーリーを取り戻すはたらきです。

このカウンターカルチャー的な側面が、クラフトビールのムーブメントととてもよく似ていて、彼らの活動には共感することが多くあります。

本来の豊かさを取り戻すという目的を持つ者同士のコラボレーションは、有機的で意義深いものであると感じています。

~チョコレート・デュンケルからチョコレート・ヴァイツェン、そして再びチョコレート・デュンケルへ~

記念すべき初コラボレーションとなった2019年に醸造担当を務めた松本氏はレシピ設計のポイントを以下の様に示しています。

・チョコレート感をビールに出すこと
・甘すぎず、ビール主体で
・苦味感は少な目が好ましい
・エールよりもラガーですっきりとした味わいに
・通年で楽しめるようなビール
・フードペアリングを考慮
・デザート感覚よりもビール寄り

これらを踏まえて、ラガーで見た目からもチョコレートを連想しやすい「DUNKEL」をベーススタイルとして選んだといいます。
※ビアスタイルについては別稿で触れたいと思います。

従来、ロースト・モルトを使用し、チョコレートフレーバーを彷彿とさせる設計のビールが多くありましたが、カカオニブやチョコレートから理想とするフレーバーを目指し、レシピを作成していました。
この時、パイナップルやバナナを彷彿とするフレーバーのタンザニア産のカカオ、チョコレートを採用しています。

翌年、更にベリーズ産のカカオ、チョコレートとヴァイツェンをベースとした個性派なビールを目指しました。

ベリーズ産のマヤ・マウンテン・カカオが持つ、甘酸っぱい苺のような酸味、ナッツのような香ばしさと、ヴァイツェン独特のエステル、酸味を組み合わせる事でフルーティさをより前面に出すことを特徴とした「チョコレート・ヴァイツェン」をリリース。

様々なレビューに耳を傾けると、人々の「チョコレートのフレーバー」と「チョコレート・ヴァイツェン」のフレーバーが感覚的に結びつかない様子がうかがえました。

私たちは一度原点に戻り、皆が期待する「チョコレート感を表現すること」から再度挑むこととしました。

新たに醸造担当となった藤咲氏は、ダンデライオン・チョコレートにご用意いただいた、ベリーズ産やドミニカ産、グアテマラ産、インド産など様々なカカオをテストし、「クラシカルなチョコレートのフレーバー」を目指して、カカオ豆の選定、ベースビールやホップの相性等を決めていきました。

モルトの選び方について、先日ダンデライオン・チョコレート・ジャパンの物江さん、伴野さんとの対談の中で触れていたので少しご紹介します。

伴野「モルトもチョコレートに合うものを選ぶのですか?」

藤咲「そうですね。チョコレートのような色味になるようなモルトを選びました。またほんのり甘味も残るように数種類のモルトを組み合わせました。」

伴野「香りもモルトで強調できるのですか?」

藤咲「焙煎してるモルトと、あまり焙煎してないモルトを混ぜて使うのですが、比率やモルトの焙煎具合で色や香りを調節していきます。」

伴野「組み合わせが無限にありそうですね。ダンデライオン・チョコレートでは、カカオ豆と砂糖のみなので、ファクトリーではローストがポイントになってくるのですが、ビールを造る過程と全然違いますね。」

藤咲「確かに選べるポイントはたくさんありますね。」

*グラウンドチョコレートを仕込み釜に投入するダンデライオン・チョコレート・ジャパンの物江さん

*グラウンドチョコレートを入れた後の麦汁

 

商品を見る

コメントする

コメントは承認後、投稿されます。

カート

売り切れ

カートに商品が入っていません。